開業7年目となる同店の過去最高売上は、02年12月の655万円だった。当時のスタッフ数は5名。現在は1名減っていて4名とオーナーの5人で営業している。スタッフを5名に戻すことにより、05年6月には6名で750万円をめざしたいとオーナーの三浦哲也さんは売上目標を考えていた。昨年12月の計画である。しかしこの増員が間に合わず、結局今年3月段階で目標の修正を余儀なくされた。現5名体制で720万円と改めて目標を定めた。
しかし今回、修正した目標720万円を達成するのみならず、オーナーが当初、1名増で計画していた750万円を1名少ないなかで達成してのけ、第3回SPF東京ベストサロン賞グランプリを獲得した。マイナス1名体制下での目標達成と過去最高売上の更新となった。
――スタッフ構成を教えていただけますか。
三浦 アシスタントはいません。スタイリストとカラーリストとエステティシャンの5名で営業しています。
――オーナーはどんなスタイリストですか。
三浦 独立前は、神奈川県下のサロンに勤務していました。4店舗を統括する店長でした。ひとりで600万円を売り上げたこともあります。現在も月平均売上は350~400万円くらいでしょうか。スタッフの生産性は100万円を超えています。
――店販が180万円とは驚きますね。
三浦 美容師の仕事は、「その場そのときのヘアスタイルを提供するのはもちろん、お客さまが帰ったあとの美容室に来ない30日間の美しさにまで責任がある」との考え方から、ホームケアのアドバイスは不可欠なものと位置づけています。市販のシャンプーを使うよりプロが選んだシャンプーを使ったほうがキレイになるのであれば、おすすめしないのは美容師の使命怠慢です。
――今回の売上目標720万円はどんな数字でしたか。
三浦 720万円は「まあ、いくだろうな」という読みはありました。しかし750万円に対しては「きついかなー」思っていました。「この30万円は大きい」と考えていたのです。750万円は、「エベレスト」へ挑戦するような目標でした。
――この6月にはどんな意味がありましたか。
三浦 「いまのサロンの形態では、美容の成長はもうないだろう」という認識です。これまではビーインプレスを維持するために走ってきました。しかし今後の発展を考えたとき、このままではやっぱりダメ。「ひとりではなく、みんなと走るサロンにしたい」と考え、経営者としてどうあるべきかを問い続けていました。一方、2年前に法人化して10年計画を策定。2年後に約4倍の拡張移転計画があります。全国展開の夢ももっています。経営者としてビジョンを実現していくなかで、この6月の目標がありました。
――どんな活動をされたのでしょうか。
三浦 エベレストの手前にある720万円の頂に挑むにあたり、同店はCS向上に取り組みました。05年12月からSPCNのCSアンケートを導入。アンケートを取り続けてきました。加えてこれまで誕生日などに限って送付していたDMを、新規、既存すべてのお客さまに100%出し続けました。この2つの取り組みによってまず、顧客との信頼関係がこれまで以上に深まったと思います。お客さまの「私のことを考えてくれている」という安心感が違います。商品の話をしても、動きやすくなりましたね。深まった信頼関係がバロメータである店販に、ひとつの結果として現れたのだと思います。同時に再来率も上昇しています。店販、昨年対比440%、180万円は、そのシンボルだと思います。
――スタッフやご自身にはどんな成長実感があるのでしょうか。
三浦 私は経営者としては初心者です。変化していこうと覚悟を決め、その証にこれまでスタッフがしていたトイレ掃除をはじめました。毎朝、トイレ掃除は私の日課になっています。些細なことですが、変わったことのひとつです。
――なかなかできることではありません。
三浦 自分自身が変わればスタッフも変わるんだということを確信しています。スタッフの数字への執着は私以上のものでした。CSが上がることでこれまで以上に自信をつけることができました。お互いにそれぞれの成長を実感できた6月でした。
月刊SPCN 2006年10月号掲載
リンク・イノベーション副社長 大薮 貴之