「みんなに『トータルビューティサロンを見てみたい!』という共通の思いがある」と話すアッシュ・エフの藤井秀雄さん
惚れ惚れとする実績にも、アッシュ・エフのオーナー藤井秀雄さんは自然体を崩さなかった。
サロン経営をはじめて19年。藤井さんがめざして来たトータルビューティサロンの完成に向け、 2005年10月以降07年1月現在までの15カ月間、なんと途切れることなく連続して昨年対比伸長率を 伸ばし続けている。06年度の売上昨年対比伸長率の平均は120%だった。この快進撃がはじまった のは2005年6月のことだった。
東京修業後の1988年、藤井さんは長崎にUターンしてアッシュ・エフを開業した。しかし地域 に馴染むまで3年を要した。その間、赤字続きの「氷河期」を経験している。その後の10年は技 術一点張りのサロンに傾く。「技術を磨き上げることこそがすべてである」という姿勢に、スタ ッフの定着もよくはなかったと振り返る。それから5年間のアッシュ・エフは、今度は徹底した 美容理論に走る。美容を化学で裏づける5年間だった。
美容を技術と理論(化学)の両面から極めた結果、藤井さんは気づく。「技術と化学を追求し てみて、自分の思いに到達しないことがわかった」。 藤井さんの「自分の思い」とは、お客さまにトータルビューティを提供できるサロンを実現する ことだ。美容人生をかけたこの夢に近づいていない現実に焦りもあった。そんなときひとりのコ ンサルタントと出会い、アッシュ・エフの夢の実現に向けて不可欠なもうひとつの要素が「マネ ジメント」であると気づいた。
05年6月のことだった。このとき藤井さんは3年で「トータルビューティサロンを完成させる」 と自分に誓う。同時に「3年先の2008年、トータルビューティをみんなで確立しよう!」「アッシ ュ・エフのビジョンをめざすなかで、それぞれがこれからの核になってほしい」と語り、オーナ ーひとりではなくスタッフ全員とこの目標への達成を誓い合った。08年7月までに店舗の拡張移転 を伴うトータルビューティサロンを完成させることが、スタッフ、オーナー全員のひとつの願いと なった瞬間だった。
全員の気持ちが揺るぎないものであることは、この15カ月連続売上昨年対比伸長率記録の更新 がすでに証明している。
一枚岩の結束を見せるアッシュ・エフ。「マネジメント」を磨くために、SPCNのコンサルティ ングスキームを徹底的に活用してきた。おそらくどのサロンよりも熱心だったに違いない。アッ シュ・エフの取り組みはそれほどに徹底していたといえる。SPCNキャンペーンの各月各テーマへ の取り組み、ベンチマーキングパーティ(BMP)への参加はいずれもいっさいの妥協はなかった。 「3年で完成させる」という強い思いに偽りがないことを活動とその姿勢が十分に物語っていた。
アッシュ・エフは、第1回サロン・パートナーズ・フォーラム(SPF)は客席から見学する立場 だった。そこで強烈な印象を刻みつけ店に戻ると、第2回目からは壇上で発表する側に回る。第2 回SPFは準グランプリを獲得。第3回SPFでも続けて準グランプリを獲得した。SPF対象月間の3 カ月はかならずCSミシュランを獲得。九州地区で開催されたBMPへの出席も長崎から福岡まで片道 約2時間もの時間をかけてパーフェクトで出席した。「カウンセリング」「接客ストーリー」「DM コミュニケーション」の各キャンペーンではすべてでノミネートサロンになり、まるで「またア ッシュ・エフ!」――。その模範ぶり、優等生ぶりは明らかだった。
こうしてマネジメントスキルを磨き上げながら確実に店舗レベルを向上させ、06年12月、技術 客数は1年前より150名増えて、技術売上の昨年対比を110%とした。客単価は1年前より601円上昇。 そのうえで店販売上は288万円。昨年対比は215%に達する勢いだった。
藤井さんは言う。「朝礼、終礼、ロールプレイング、はがき書きと作業量は当然、増えている。 最初はきつかった。でもしんどいけど定着している。当たり前のレベルが少しずつ上がった」。 さらに「さぼっていたからできなかっただけ。わかっているのにしないのは許されない。当たり 前のことを妥協せずにやる」。藤井流サロン経営の極意はじつにシンプルだった。
店頭に陳列しているアジュバンの化粧品群
「技術」「理論」「マネジメント」を手に入れたアッシュ・エフに、さらにひとつのノウハウが注ぎ 込まれたのは06年8月。サロン内フェイシャルエステ、ミッショナリー(MS)の導入だった。トータ ルビューティをめざしているアッシュ・エフはこのときすでにMSが採用するアジュバン化粧品を取 り扱っており、店内販売を伸ばしていた。 「トータルビューティ」をめざすうえでアジュバンとの 出会いは自然な流れだったようだ。つまりアッシュ・エフはあえてMSを導入する必要はなかったとも いえる。だから藤井さんは1週間悩んだ。しかし悩んだ末に藤井さんが出した結論は、「(MSの)ノ ウハウ」の選択だった。
藤井さんはいま、「(MSを)やってよかった」と下した判断が間違いではなかったことを実感し ている。「これまでヘアに対しては100%フォローできたが、化粧品に対しては100%応えられなか った。トータルビューティをめざしながらも、それはお客さまに対して不誠実だった。特別なこと はなにもしていないが、トータルビューティを追及し、“お肌”の提案もできるようになって、相 乗効果が現れている。スキンケアの知識を身につけた結果、ヘアケア商品も連動して伸びてきてい るからだ。頭皮とお肌は一体なもの。一枚の皮膚。本来、切り離せるものではないはず。女性にと って時間とお金をかける大事なものだから、どちらのことも考えて上げられることこそがトータル ビューティの本質」と語る。
トータルビューティの完成に向けてアッシュ・エフの守備範囲はボディーソープやサプリメント にも発展する。「先々面白いし楽しみ」と藤井さんは語る。07年、ブライダルへの進出も決めたア ッシュ・エフは、08年の完成形へ向かって当たり前のコマをまた一歩前へ進めた。
リンク・イノベーション副社長 大薮 貴之