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第12回 美容室 売り上げ拡大②~客単価向上~

 前号ではいよいよ、「客数をアップさせよう」ということで紹介獲得ストーリーについてお話しいたしました。さて売り上げをさらに高めるために客単価も上げていきましょう。
 わたしがお手伝いをしているサロンに、2006年3月に490万円だった技術売上が07年3月に640万円に上昇したお店があります。SPCNのノウハウを活用しはじめて4カ月目で大きな成長をされました。彼らはいったいなにをしたのでしょうか。それをご紹介しましょう。
 じつは客数はそれほど変化していません。客単価が向上したのです。5800円ほどだった客単価が、7000円まで上がりました。当然、客単価を上げるというのはたんにメニューの金額を上げることではありません。「そうそう、そんな髪型にしたかったんです。どうもありがとう」と言ってもらえるような提案が必要です。お客さまはみなさまが想像できないくらい自分の理想を伝えることができません。原因は2つ。ひとつは表現力がないこと。カウンセリングでつくりあげたい髪型を伝えようとおもっても言葉がうまくでてきません。ふたつ目は恥ずかしさなどで本音をいわないことです。
 私自身、1年くらい前につぎのような出来事がありました。そして2度とその美容室には行っていません。1年ほど前のある日、仕事の合間をみて飛び込みである美容室に入りました。女性のスタイリストが担当をしてくれました。カウンセリングではどのような髪型にしたいか伝えました。しかし仕上がりを見てがっかり。まったくわたしの伝えようとしたニュアンスは伝わっていませんでした。仕方なくそのまま会社に戻ったのです。じつはわたしは次の日、1000人ほどの美容師の前で講演する予定がありました。そのため凝ったデザインにしてほしいと思っていました。しかし美容師さんの前で講演のことを話すのは気が引けて言えなかったのです。この体験からもおわかりいただけるように、お客さまは要望をうまく伝えられないものなのです。
 ではどのようにしたらお客さまの心に響く提案ができるでしょうか。その客単価を上げる提案をするための「魔法の4ステップ」があります。

客単価を高める魔法の4ステップ

①お客さまの満足度を感動レベルにまで引き上げる

 すべてのベースになります。お客さまが感動している状態では美容師とお客さまの信頼関係がしっかりと築かれています。だから客単価を上げるための提案ができます。逆に不満レベルで提案をしてしまうと押し売り感を与えてしまいます。失客につながってしまうので気をつけてください。

②美容師としての職業観を深める

 美容師の仕事とはなにか――という職業意識が客単価を上げるための分かれ目になります。美容師の仕事をお客さまの要望どおりのヘアスタイルを創るものだと考えてしまうと、カウンセリングが深まりません。そして客単価アップにもならないのです。ではどのように考えるのでしょうか。「私たちはお客さまのハッピーライフを創りあげるのだ」と自覚することではないでしょうか。お客さまは美容室にいる瞬間だけきれいになりたくてご来店するのではもちろんありません。ご自宅に帰ってご主人にほめられる瞬間や、次の日に会社に行って同僚から「きれいだね」と声をかける瞬間や、パーティでみんなの注目を集めるほどの美しさをふりまく瞬間の「幸せな自分」を手に入れたくてご来店されるのです。そこに焦点をあわせるならば、ただたんに要望を聞き、そのとおりにカットするだけでは足りないことに気づきます。そこにはプロとしてのアイディアが生まれてくるのです。職業観を深めるための手順をご説明します。

  • (a)美容師をめざしたきっかけを思い出してみる
  • (b)いままで仕事でいちばんうれしかったことを思い出してみる
  • (C)いままでいちばん喜んでくれたお客さまのことを思い出してみる
  • (d)いちばんよろこんでくれたお客さまの人生が具体的にどのように豊かになったのか考えてみる
  • (e)自分ななぜなんのために美容師をしているのかを言葉にしてみる

③美容師としての職業観をお客さまに伝える

 考えた職業観はお客さまに伝える努力が必要です。私たちは阿吽の呼吸で伝わると考えてしまうことがありますが、それは錯覚です。想いをたっぷりに伝えましょう。伝えるとなにが起きるのかとお感じになるかもしれません。お客さまが心を開いてくれるのです。実際にわたしがお手伝いをしているサロンで伝えてもらったところ、お客さまから「一生ついていきます」などの喜びの声をたくさんもらうことができました。心を開いてくれてはじめて、「本当のカウンセリング」をはじめることができるのです。

④プレシンキングを活用したカウンセリングを実施する

 プレシンキングとはなんでしょうか。それは「事前に考える」という意味です。予約のお客さまが入っているときに、予めどのようなカウンセリングをするのかイメージをふくらませておくのです。するとカウンセリングを深く深くすることができます。

ではプレシンキングの3つの手順をご説明しましょう。

(1)お客さまのことを想像し理解する

前回の提案内容や、家族構成、好きな芸能人、髪質や髪の悩みなどをできるだけ詳しく想像します。深く考えると、「○○さまだったら□□のように思うんじゃないか」とお客さまの気持ちになれるはずです。

(2)お客さまのハッピーライフを想像する

どんな場面でだれにほめてもらうのか。そのときにどういう気持ちになりたいのかを考えます。お客さまにとって大切なイベントがあるときなどはその場面を想像しましょう。

(3)お客さまへの提案内容を考える

ハッピーライフを実現するためのプロとしての提案内容を考えます。そして提案内容とその理由はほかのスタッフにも伝えておくのです。するとお店全体でそのお客さまのハッピーライフを実現することができ、よりお客さまにとってかけがえのないお店になります。

提案について考える ~プレシンキングの一例~

(1)お客様に感情移入する。

前回の接客内容
トップのボリュームアップでとてもよろこんでいただけた。
家族構成 趣味 職業など
ご主人・お嬢さんと3人暮らし。専業主婦。趣味は演劇鑑賞
お客様の 髪質 生え方 などのお悩み。
トップ(とくにつむじ周辺)が薄くなってきたこと。家でセットするとどうしてもボリュームが出ない。

(2)お客様のハッピーライフを想像する。

だれにホメてもらうか?
お嬢さん!とても仲がよいとのことなので
それは いつ どこで どんな言葉で?
演劇を見に行くためにお洒落してお出かけするとき。「お母さん今日とてもすごく若々しいね」
そのときのお客様の気持ちは?
今日はとてもよい1日!音劇も楽しい!
本当に○○美容室の□□さんにお願いしてよかった!

(3)お客様への提案内容を考える。

何を どうやって 提案するか?
パーマはお嫌いとのことだったのが再現性がポイントのはず。セットしやすいスタイルを提案。明るめのカラーも入れる。パーマ・カラー同時なのでしっかりトリートメントも

以上のことを、おおよそ1カ月くらいかけて徐々にやってみてください。ひとつひとつを確実にこなしステップアップしていくことが重要です。しっかり取り組むことができればお客さまの喜びも大きくなり、客単価も確実に上がります。

おさらい

☆客単価UPには売上拡大につながる!
客単価を工場させるには
 ×メニューの金額を上げる
 ◎お客様の心に響く提案をする
そのために・・・魔法の4ステップを踏むことが大切

美容の経営PLAN(女性モード) 2007年7月号 記事転載

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